寝つきの悪さを克服したいなら

前回は、寝るタイミングではなくて、起きるタイミングの方が大切という話をしました。その為、今回は起きるタイミングの話をしたいと思います。

あなたにも、夜眠れていない分、日中に睡眠時間を確保しようとお昼前くらいまで寝ている事はありますか?

寝ていると言っても、ベッドの中に入って夢か現実か分からない状態で数時間過ごしたりしていたりすると思うので、寝ているという表現は少し誤りかもしれませんが…。

 

寝つきが悪くても、朝になったら絶対起きよう

 

これをしていると、睡眠相が後ろにずれただけで結局また夜眠れなくなってしまうので、今のままでは睡眠と覚醒のリズムが整うのは難しいかもしれません。

 

こういう時は、いくら遅くに寝てしまったとしても、起きる時間は変えずに睡眠時間を減らしてしまう方が不眠の改善に繋がります。

 

これを睡眠制限療法と言って、意識的に睡眠時間を減らす事で、日中に活動して夜に睡眠を取りやすくするというリズムを作っていけます。

まず最初にやる事は、2週間を目処に睡眠日誌をつける事。そこに、

 

・ベッドに入った時間

・実際に寝た時間

・起きた時間

 

をメモっておきます。

ここでも大切なのは、実際に眠気がきてからベッドに入るという事。

 

実際に寝た時間は正確には分からないと思うので、大体で良いので、起きてから記入してください。

 

その2週間の平均値に合わせて、ベッドにいる時間(床上時間)を制限していきます。

 

制限の目安としては、床上時間の内、実際の睡眠時間が75%(※)以上になるのが目標です。

 

(例えば、あなたの平均睡眠時間が3時間で朝の7時に起きる場合、大体3時45分頃を目安にベッドに入るようにしてください。)

 

最初から寝付けなくても気にしない

大事なのは、最初からすぐに出来るわけではないし、日を追うごとにうまくいくわけでもないと理解しておく事。すぐに出来なかったりうまく出来なかったりしますし、出来たと思ったらまた出来なかったりと、波があったとしても、「そんなもんだよね。」と思ってコツコツ続けてみる事です。

 

そして、75%以上眠れるようになってきたら、15分を目安に床上時間を増やしていってみてください。

(上の例えだと、3時半にベッドに入ってみる感じですね。)

 

「でも、大事なのは寝入るタイミングじゃなくて、眠気が来てから寝る事なんじゃないの?」

って思われますよね。

その通りです。

 

ここでは15分早くベッドに入ってみて、睡眠時間が床上時間の75パーセントを下回ってしまった場合、また元の床上時間に戻して、75%をキープ出来たらまた再トライを繰り返していきます。

 

(設定した時間より前に眠気が来た時は、構わず寝てしまってください。)

 

これを繰り返し行い、床上時間と睡眠時間を75%をキープしたまま、両者を少しずつ増やしていけるように、睡眠をコントロールしていこうする試みがこの睡眠制限療法です。

 

寝付けるようになる為のまとめ

  1. まずは2週間の平均睡眠時間を計算する
  2. 起床時間を決めて、起床時間から平均睡眠時間+15分を引いた時間を目安にベッドに入る
  3. 床上時間の75%以上睡眠が取れるようになったら、ベッドに入る時間を15分を目安に早めていく
  4. 自分の目標とする睡眠時間に到達するまで、3を繰り返し行う

です。

 

また、注意事項として

  • ベッドに入るのは眠くなった時か設定した就寝時間になった時だけ
  • 15分経っても眠れなかったら、一度起きて眠気が来るのを待つ
  • 寝る事以外にはベッドは使わない
  • 日中眠くても、昼寝は20分程度に抑える

を守るようにしてみてください。

 

信じられないかもしれませんが、この方法を試していると眠気が出て来るのが少しずつ早まっていくのは事実です。

 

睡眠制限療法の有効性は実証済

こういった不眠に対する認知行動療法の有効性は実証されていて、薬物療法よりも効果が高いと考えられていますし、減薬促進効果も期待出来ます。

 

最初は信じられないかもしれませんし、正直とても根気のいる作業なので、何度も挫けそうになってしまうかもしれませんが、行動を起こして諦めずに出来るまでコツコツ続ける事が大切です。

 

文章だと分かりづらいかもしれないので、もし不明な点があれば、いつでもご相談ください。

 

※この%は色々な説がありますが(85%や90%と記載されているところもあります)、当院では『睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版 編集睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会』の内容を参考にしました。

 

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