肩こりとは、首から肩、肩甲骨の間までの範囲に、重だるい感じや詰まった感じ、こわばった不快感を総称したものを言い、場合によっては痛みや圧痛を伴う症状を言います。
原因ははっきりと分かっていませんが、首肩周りの筋肉疲労だけでなく、背中の冷えやストレス、精神的な疲労、ホルモンバランスと関係があると言われています。
現代医学の頸椎症や内科疾患に肩こりを伴う場合は、今回の内容を参考にしてみてください。
中医学から診た肩こりの原因
肩こりは、一般的には肩周りの筋肉が原因で起こると考えられていますが、中医学では様々な原因で起こると考えています。
中医学から診た肩こりの原因は
- 風寒の邪気の侵入(風寒侵襲)
- 冷え(寒飲停滞)
- ストレスによる血行障害(気滞血瘀)
- 陰陽バランスの乱れ(肝陽亢進)
- 疲労による血行障害(気虚血瘀)
- 貧血(肝血不足)
の6つがあります。
これらの原因が、首や肩を巡る経絡に侵襲した事で肩こりの症状が起きると考えられています。
肩こりのタイプ
①風寒タイプ(風寒侵襲)
寒い場所に長時間いた事で外から冷えが入って来たり、汗をかいたまま風に当たった事で首や肩周りの経絡に引きつり肩こりが起こります。
- コリ感がかなり強く、急に発症する
- 触ると冷えていて、温めると楽になる
- 風邪っぽかったり鼻水などの症状もある
- 風邪を引いた時やその後に起こりやすい
- 頭痛や関節痛などもある
改善方法
肩周りを温めて、風邪症状がある場合はまずは風邪を治す事に専念する事が大切です。
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.外関
甲側の手首のシワの真ん中から、指3本(人差し指〜薬指)肘側へ取ります。
首肩付近に入って来た風寒の気を追い出す働きがあります。
3.合谷
親指と人差し指の骨が交わる所から、少し人差し指寄りの凹みに取ります。
風邪のひき始めや顔面部の疾患、歯の痛み、首肩こり、ストレスなど、様々な症状を改善させる働きがあります。
②冷えタイプ(寒飲内停)
①風寒タイプの外から入って来た冷えと違い、生ものや冷たいものの食べ過ぎで身体が冷えた事で起きる肩こりです。
- コリ感は強く、冷えると悪化する
- 触ると冷えていて、温めると楽になる
- 雨の日など、天気が悪い日に悪化する
- 手足の冷えもある
- 下痢や軟便
など
とにかく身体を冷やさない事が大切です。生ものや冷たいものは避け、温かいお茶やお白湯を飲んだり、身体を温める食材を取りましょう。 改善方法
お風呂などで体全体を温めるのも効果的です。
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.中脘
お腹のみぞおちとおへそのちょうど真ん中に取ります。
お灸やホッカイロなどで温めると効果的です。
3.豊隆
膝の下と外くるぶしのちょうど真ん中に取ります。
体内の余計な水分を取る効果があります。
③ストレスによる血行障害タイプ(気滞血瘀)
ストレスにより気の流れが滞り、首肩周りの血行が障害された状態です。
長時間のデスクワークなどで首や肩の血行が悪い方がストレスを受けると、より強く症状が出ます。
- 張ったような痛みやズキズキした痛みがある
- 細い血管が浮き出ている
- 緊張やストレスで悪化する
- イライラしたり鬱々とする
過度の精神刺激を避けて、姿勢に気をつけてください。 改善方法
デスクワークをする時は30分に1回程度、首や肩を動かして固まらないように意識してみてください。
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.太衝
足の甲にあり、第一指と第二指が交わる所の凹みに取ります。
気の滞りを流す働きがあります。
④陰陽バランス失調タイプ(肝陽亢進)
慢性的な夜更かし、加齢や長引く病気など陰が不足し、陽を制御出来なくなり起こる肩こりです。
- 張り感が強い
- 温めてもあまり変わらない
- 緊張やストレスで悪化する
- めまいや耳鳴り、目の充血など顔面部の症状もある
規則正しい生活を心がけて、睡眠はしっかりとりましょう。 改善方法
出来るだけ12時前に寝るようにしましょう。
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.太衝
足の甲にあり、第一指と第二指が交わる所の凹みに取ります。
気の滞りを流す働きがあります。
3.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
⑤疲労による血行障害タイプ(気虚血瘀)
疲労により気が不足し、血の流れが滞って起きる肩こりです。
- ズキズキした痛みがある
- 触ったり温めると楽になる
- 疲労で悪化する
- 息切れや怠さがある
改善方法
疲労によって血行障害が起きている為、無理に運動をして巡りを良くしようとしても逆効果になってしまう可能性があります。
軽めの運動やお風呂に入るなどで巡りを良くし、夜はなるべく早めに寝て疲れを取るようにしてみてください。
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.足三里
膝のお皿の下から、指4本分下(人差し指〜小指)下の、スネの骨の外側に取ります。
胃の不調を改善してくれるツボです。
3.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
⑥貧血タイプ(肝血不足)
血の不足により、首肩周りの筋肉が栄養されない事で起きる肩こりです。
- コリ感は弱いが、慢性的にある
- 睡眠不足や生理後に悪化
- 眼精疲労や目のかすみもある
- 乾燥肌
など
改善方法
結を補う食材を食べて、夜はなるべく早めに寝るようにしてみてください。
また、無理な運動や目の酷使は血を消耗してしまいます。
控えるように意識してみてください。
「血」を補う代表的な食材:レバー、なつめ、プルーン、くるみ、アサリ、イカ、ホタテ、マグロなどの魚類、やまいも、にんじん、ほうれん草、小松菜などの野菜
おすすめのツボ
1.肩井
首と肩先の中間に取ります。
ご自身で触って、コリ感を感じる所を痛気持ちいい程度に押してみてください。
2.血海
膝の皿の上の内側から、指3本分(人差し指〜薬指)上がった所に取ります。
3.三陰交
脚の内くるぶしから指4本(人差し指〜小指)上にあります。
すねの骨と筋肉の間に取ります。
最後に
如何でしたでしょうか。
「肩こりが強くて自分で揉んだりマッサージをしても、なかなか良くならない。」というお話を良く伺います。
肩こりは首や肩だけの問題ではなく、精神的なものや疲労、冷え、内臓などから来る事もあります。
原因や症状などを見極めて、対応していく事が大切です。