「疲れが溜まって、動きたくない」
「全身だるい」
「なんだか、頭もうまく働かない…」

「倦怠」とは、疲れが溜まっている状態だったり疲労感の事を言いますが、ここでは「何をしてても常にだるい。」というような病的なものの事を指します。

 

倦=疲労、疲倦

怠=怠惰

 

ご自身のモチベーションや、やる気だけでは解消出来ない倦怠感ってありますよね。

そんな時中医学ではどのように考えるのかを、タイプ別にお伝えします。

中医学から診た倦怠

倦怠は、一般的には疲労から来るものと思われていますが、

中医学では、ストレスや出産、食べ物によっても起こると考えています。
倦怠が起こる原因として

 

①病後や産後で、気力体力が回復していない(気血両虚)

②暴飲暴食により胃腸が弱り、水分代謝が滞っている(痰湿形成)

③加齢や過度の房事により、精気を消耗している(腎精不足)

④過度の抑うつ・精神疲労で心労が溜まっている(形神不振)

などが原因となり、倦怠が生まれます。

倦怠のタイプ

気力・体力不足タイプ(気血両虚)

長引く病気や産後で、全身の気血を失った状態です。
気は身体のエネルギー源であり、血に載って全身を巡ります。
両方が不足している状態だと、全身にエネルギーが巡らずに倦怠感が生まれます。

 

気力・体力不足の倦怠の特徴

  • 少し動いただけで疲れる
  • じっとりした汗をかく
  • 顔色や、唇、爪の色も悪い
  • だるいのに、眠れない時もある
  • 立ちくらみやめまいなどもある

 icon-chevron-circle-right 改善方法
このタイプの方は気血を補う生活習慣が大切です。
気血が不足しがちな人は、胃腸も弱っている事が多いです。

胃に負担のかからないようになるべく良く噛んで食べて、気血を補う食べ物を食べましょう。

気血を補うのにおすすめの食材:やまいも、とうもろこし、小麦、なつめ、かぼちゃ、きくらげ、サケ、ブリ、あさり、ホタテ、まぐろ、鶏肉、牛肉、卵、レバーなど

 

水分代謝低下(痰湿)

慢性的な暴飲暴食や運動不足により、代謝機能が低下し、身体に余計な水分(痰湿)が溜まった状態です。
雨などで洋服が濡れるととても重たく感じるように、身体に余計な水分が溜まっていると、とても重たく感じます。
その分疲れも感じやすくなったり、ますます身体を動かしづらくなってきてしまいます。

 

水分代謝低下の倦怠の特徴
  • 身体が常に重だるい
  • 運動不足
  • むくみやすい
  • 寒がり
  • 雨の日や梅雨時期に症状が出たり、悪化する
  • 脂っこいもの、甘いもの、味の濃い物を良く食べがち

 icon-chevron-circle-right 改善方法
冷たい飲み物は避けて、なるべく常温か温かいものを飲みましょう。
代謝を上げる為には、運動が大切です。運動習慣のない人が急にジョギングなどをすると怪我の原因になるので、まずは軽めのウォーキングなどから始めてみてください。

おすすめの食材:キャベツ、大根、たまねぎ、とうがん、白菜、きのこ類、あずき、納豆、しそ、昆布、海苔、烏龍茶、プーアル茶など

 

エネルギー不足(腎精不足)

長引く病後や産後などに出てくる倦怠です。

「気力・体力不足」のタイプと同じように、エネルギーが不足した状態ではあるのですが、こちらは「気血」ではなく、「腎精」が不足した起こるもので、不足している物質にちょっとした違いがあります。

同じエネルギーでも、この腎精は生まれた時に両親からもらったエネルギーであり、成長や生殖など、生命維持に大きく関わるエネルギーとも言えます。

こちらが失われて起きる倦怠は、「気力・体力不足」のタイプとはまた違った特徴があるので、中医学では分けて考えています。

エネルギー不足の倦怠の特徴

エネルギー不足の倦怠の特徴

  • 記憶力や知力なども減退する
  • 寝汗をかく
  • 体格が小柄
  • 腰や膝の重だるさが強い

 

 icon-chevron-circle-right 改善方法
腰回りを温め、冷やさないようにする。
過度な房事は避ける。
睡眠をしっかり取り、無理のない程度に身体を動かす。
などがおすすめです。

おすすめの食材:しょうが、にんにく、やまいも、さといも、くるみ、黒豆、黒米、栗、羊肉など

 

精神疲労・情緒不安定(形神不振)

抑うつ感や精神疲労、情緒の変化によって突然起こる脱力感などを伴います。

他のタイプと少し違い、精神状態が大きく影響して起こる倦怠です。

 

精神疲労・情緒不安定の倦怠の特徴
  • 不眠。眠れても夢が多くスッキリしない。
  • 何にでも考え過ぎてしまう。
  • 普段から鬱々したり、精神的な疲労を感じやすい。
  • 症状が情緒によって変化する。

 icon-chevron-circle-right 改善方法
精神的な刺激やストレスをなるべく避けて、ゆっくり過ごすことが大切です。
鍼灸や漢方などもおすすめです。

おすすめのツボ
1.神門

手首のシワの上にあり、小指側の手首の凹んだ所に取ります。

2.間使

手首と肘の間にあり、掌側にあります。手首のシワの真ん中から、指4本分の所に取ります。

どちらも、自分の指で気持ち良いと感じる程度の力で押してみてください。

おすすめの漢方
養血安神丸

最後に

疲労や倦怠感は、どなたでも一度は経験があると思います。

ほとんどの場合は、十分な睡眠を取ったりゆっくり休めば改善されますが、中には慢性的に倦怠感が続いたり、寝ても疲れが取れない場合もあります。

大きな病気が原因だったり、自律神経のバランスが崩れて起きている場合も考えられます。

長期化するとうつ病へ発展する恐れもありますので、早めの対応を取るようにしてみてください。

 

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