眠りたいのに、眠れない
寝ても途中で目がさめる
寝てる時間は長いのに、寝た気が全然しない

 

「眠りたいのに眠れない。」って、とても辛いですよね。

現在日本では5人に1人が眠れないとお悩みを抱えていて、20人に1人が睡眠薬などを利用して睡眠を取っています。

不眠症の原因は一つという事はほとんどなく、色々な原因が考えられます。

 

不眠の原因

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • レストレスレッグス症候群
  • 周期性四肢運動障害
  • 疼痛
  • 喘息
  • 病気の後遺症
  • ベッドや枕が合わない
  • 予期不安
  • 薬の副作用
  • 薬の離脱症状
  • 逆説性不眠
  • 精神生理性不眠症
  • 自律神経失調症
  • 動悸
  • カフェインの摂り過ぎ
  • 極度の緊張
  • トラウマ
  • 夜勤や出張が多く、寝る時間や場所が不規則

など

 

現代医学では不眠治療の為に

  • 睡眠を阻害する病気の治療
  • 睡眠薬や抗不安薬などの薬物療法
  • 認知行動療法

を行っていますが、基本的には薬物療法がメインとなります。

中医学から診た不眠症

中医学では、睡眠をまた別の角度から診ています。

中医学では『五行』という考え方があり、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」のそれぞれの臓腑が情緒を司っており、(この場合の臓腑は、西洋医学でいう「肝臓」や「心臓」などの概念とは少し異なります。)特に「心」は全ての情緒を総括していると考えられています。

中医学から診た不眠症は、この「心」が何かの原因でバランスを崩す事で生じると考えられています。

当院では、その原因を見つけ、随伴症状と照らし合わせて治療方針を固めていきます。

を乱す原因は、大きく分けると「熱」と「虚」

がバランス崩す原因は、「熱」と「虚」に大別されます。

「熱」は体内に篭った熱の事を指します。この熱にも、熱の力自体が強いもの(実熱)と、身体を冷やす力が弱くなって相対的に生まれた熱(虚熱)の2種類があります。
ストレスや鬱々とした気持ちが積み重なると、体内で熱が生まれ、体調に悪影響を及ぼすと考えられています。

「虚」は、身体に必要なエネルギーや物質が不足している状態を指します。
肉体的・精神的な疲労が積み重なる事で身体の中のエネルギーである「気」「血」「精」が不足し、体調に悪影響を及ぼすと考えられています。
睡眠不足により更に疲労がたまり、更に眠れなくなり…と悪循環が生まれていきます。

 

「熱」と「虚」が生まれる原因

①ストレス

長引くストレスは、気の流れを滞らせます。

気はエネルギーなので、滞って詰まってしまうと、徐々に熱化します。

この状態が長く続くと、身体の中に熱が生まれる原因になります。

 

②貧血・気力不足

長引く疲労や思い悩み、飲食の不摂生、慢性的な出血などが続き、気・血が不足する事が原因となり起こります。

この状態は体力・精神力をすり減らされてしまうので、「虚」を生みます。

 

③暴飲暴食や乱れた食生活

脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものの食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎにより、胃腸機能が停滞してしまうと、余計な水分(痰)が生まれ、それが滞る事で身体に熱(痰熱)が生じる原因になります。

 

④身体の潤い(陰)不足

慢性疾患や過労により、身体の潤い(陰)が不足して起こります。
この状態も「虚」を生みますが、さらに進むと、「虚熱」と言う熱が生まれる原因になります。

 

⑤不安症や長引く悩み

考えすぎや不安感が強い事が原因で起こります。

不安要素がある場合や心身疲労で悪化します。

これは「熱」「虚」どちらも生む原因になります。

 

不眠症のタイプ

痰熱タイプ(痰熱擾心)

眠りが浅く、夢を良くみる。めまいなどを伴う。横になるとお腹が張って眠れない。胸苦しい。胃脘部のつかえがある。
脂っこいもの、甘いもの、味の濃いものなどの食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎにより、胃腸機能が停滞してしまうと、余計な水分(痰)が生まれ熱化(痰熱)してしまいます。
この痰熱が心に影響して精神的に不安定となり、不眠症状が現れます。

ストレス・イライラタイプ(肝鬱化火)

中医学では、イライラや怒りなどのストレスは肝の機能を障害すると考えます。
肝には、気の巡りを良くする働きがありますが、ストレスなどでこの働きが弱まると、気の滞り(気滞)が生まれ、これが熱化(鬱熱)すると、精神的に不安定となり不眠の症状が現れます。
イライラして眠れず、激しいと夜を徹して眠れない。頭痛、目の充血、耳鳴り、怒りっぽくなる、口に苦味を感じる、脇の痛みなどを伴います。
ストレスが原因で起こる為、ストレスが溜まったり、春先に悪化する傾向があります。

体温調整失調タイプ(心腎不交・陰虚火旺)

通常、心は身体を温めて、腎は身体を冷やす働きを持っています。
この2つの臓がバランス良く体温を調整しているのですが、慢性的な疲労や生活習慣の乱れ、加齢や不摂生な性生活などにより、腎の機能が低下した事で心の火が強くなり過ぎたり、長引く思い悩みやストレスなどにより、心の火が強くなり過ぎて腎とのバランスが崩れてしまうと、精神的に不安定となってしまい、不眠の症状が現れます。

寝付きは悪くないが、途中で目が覚めて熟眠出来なかったり、火照りや寝汗を伴います。

貧血・気力不足タイプ(心脾両虚・気血両虚)

長引く思い悩みや飲食の不摂生、慢性的な出血や病後の養生が悪いと、気血が消耗され精神的に不安定となり不眠の症状が現れます。

途中で目が覚めやすく、夢を多く見る。動悸、めまい、顔色が冴えない、胃腸の不調、身体も心も疲れやすい、頭にもやがかかったような状態となりうまく働かないなどの症状を伴います。
色々な事を過度に考え過ぎてしまったり、不安要素が多いなどの心労で悪化します。

中医学から診た各種疾患