パニック障害

パニック障害は、『パニック症候群』『不安神経症』とも呼ばれ、心臓に特定の疾患がないにも関わらず、特定の場所や条件によって「動悸」「息苦しさ」「不安感」などが生じる「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」を三大症状とする病気で、約100人に1人が発症すると言われています。

原因やメカニズムはまだはっきりとは分かっていませんが、私たちの脳が危険回避からの防衛反応が引き起こすと考えられています。

お困りの方の多くは

  • 心配性

  • 真面目

  • 不安が強い

  • ストレスに敏感

  • 自信が持てない

  • 人に気を使い過ぎる
  • 完璧主義

  • 人の目を気にし過ぎる

  • 生活リズムが不規則

などの傾向があります。

パニック障害は日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、うつ病を合併する恐れもある為、早期に対策をして行く必要があります。

 

中医学から診た、パニック障害のタイプ

現時点では原因の特定は出来ずに、薬物療法と認知行動療法がメインの治療方法となります。

中医学では、パニック障害は心の気血が不足している時に起こる場合が多くあります。

ここではお伝え出来るのは全てではありませんが、なにかしらの原因で心の気血が不足する事で起こっていきます。

 

①心気虚

  • 人混みに行くと、息苦しくなったり、不安・恐怖を感じる
  • 狭い場所が苦手
  • 電車に乗ると、急に不安になり気分が悪くなる。

などの症状が出ている方で、

「精神的に不安定」

「家でゆっくりしていても、動悸や不整脈が出る事がある」

「不眠症状(入眠困難・中途覚醒・早期覚醒・熟眠困難)がある」

などの症状がある場合を、心気虚(心の気が不足している状態)と言います。
長引く精神的な疲労などが原因で起こる事が多いです。

 

 icon-chevron-circle-right 心の状態を整えた上で、身体全体の血を増やしてきます。

 

気を補うおすすめ食材
  • やまいも
  • きのこ類
  • じゃが芋、さつま芋
  • 鶏肉
  • 大豆
  • サケ、サバ、イワシなどの魚類

 

②心血虚

中医学では、心は血で栄養されていると考えます。

その為、ダイエットなどによる栄養不良や、長引く思い悩みで血が不足すると、心を栄養出来なくなり精神的に不安定となり、動悸が起こります。
他にも過度な出血や精神疲労、病気の長患いなどが原因で起こります。

他の症状として、顔色が悪く艶がない、めまい・不眠症などを伴う、動悸の症状はそこまで強くなく、「トクトク」した動悸がずっと続く

などがあります。

 

 icon-chevron-circle-right  心の状態を整えた上で、身体全体の血を増やしてきます。


「血」を補う代表的な食材

  • レバー
  • なつめ
  • プルーン
  • くるみ
  • アサリ、イカ、ホタテ、マグロなどの魚類
  • やまいも、にんじん、ほうれん草、小松菜などの野菜

 

③心胆気虚

  • 人混みに行くと、息苦しくなったり、不安・恐怖を感じる
  • 狭い場所が苦手
  • 電車に乗ると、急に不安になり気分が悪くなる。

などの症状が出ている方で、

「少しの音でもびっくりする」

「急に人に声をかけられただけでどきっとする」

「優柔不断である」

「物事を中々決断できない」

などの症状がある場合を、心胆気虚と言います。

心と胆の気が不足している状態です。

 

  心と胆の気を両方補う事で、状態のバランスを整えていきます。

 

④心脾両虚

  • 人混みに行くと、息苦しくなったり、不安・恐怖を感じる
  • 狭い場所が苦手
  • 電車に乗ると、急に不安になり気分が悪くなる。

などの症状が出ている方で、

「疲れと倦怠感が強い」

「食欲がない、お通じが不安定などの胃腸症状がある」

「顔色がさえない、貧血気味」

などの症状がある場合を、心脾両虚と言います。

脾は、食べ物を消化・吸収・代謝し、気を全身に巡らせる働きを持っています。

この脾が弱まる事で心まで気が巡らずに心の気血が不足してしまい、精神的に不安定になっていきます。

 

 icon-chevron-circle-right 心の気血を補った上で、胃腸症状を整えていきます。

 

⑤心肺気虚

  • 人混みに行くと、息苦しくなったり、不安・恐怖を感じる
  • 狭い場所が苦手
  • 電車に乗ると、急に不安になり気分が悪くなる。

などの症状が出ている方で、

「常に慢性的に咳をしている」

「流行性の感染症にいつもかかる」

「呼吸が浅い」

などの症状出ている状態を、心肺気虚と言います。

中医学では、はいは呼吸だけでなく「心」の働きを補佐すると考えられていて、肺の働きにより血脈が正常に運行される為、肺が弱いと心の気が弱まり、精神症状が出る事があります。

 

 icon-chevron-circle-right 肺の気を補った上で、心の状態を整えていきます。

 

パニック障害と関連の深い臓腑

パニック障害の原因は上記以外にも多岐にわたり、「心」「脾」「肝」「腎」などの臓の働きが問題で起こる事が多いです。
一人一人の原因や症状を伺いながら、施術に反映させていきます。

 

  • どこの臓に問題があるのかを見極めた上で、鍼灸や漢方で症状を改善していく
  • 認知行動療法などで小さな成功体験を積み重ねる事で自信をつける
  • 上記2つを繰り返す事で、予期不安も減らしていく

 

事で徐々に症状を改善させていきます。

薬物療法も症状を抑える事は出来ますが、

  • 根本的な改善になっていない点
  • 根本的な改善を遅らせてしまう
  • 副作用、離脱症状がある

などがある為、薬物療法を選択する時は慎重に行ってみてください。

大変な作業ですし、恐怖や不安と闘いながら乗り越えていかなくてはいけないので、途中で諦めたくなる事もあるかと思います。

『必ず良くなる。』と信じて一つ一つ歩み続ける事が大切になっていきます。

 

中医学から診た各種疾患