めまいは、急に立ち上がった時や階段の上り下りの時など、私たちの日常生活で割とよく見られる症状です。

 

「周囲や自分がぐるぐる回って見える」
「足元がフワフワと浮いているような感じ」
「気が遠くなる」

 

など、色々な症状があります。

こんな時、どのような異常があるのかを解説します。

現代医学によるめまい

回転性めまい

「周囲や自分がぐるぐる回る」などの症状で、急に発症し、耳鳴りや難聴、吐き気を伴う事が多いです。

平衡感覚を脳に伝える耳の三半規管やその経路の障害が疑われ、急性期の末梢前庭性めまいが原因の事が多いです。

良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、ハント病など。

 

浮遊性めまい

「雲の上を歩いているような」「足元がふわふわと浮いているような」感覚で、座っている時や立っている時、歩いている時のふらつきを伴います。

緊張性頭痛や肩こりもみられる事が多く、貧血・低血糖・循環器系などの全身内科的疾患や心因性疾患によるものもしばしみられます。

 

失神型めまい

ふわっと意識が遠のく立ちくらみや、目の前が真っ暗になる事が多いです。

ほとんどの場合、血圧の問題で現れます。

原因

  1. 耳の病気(約75%)…良性発作性頭位めまい症、メニエール、突発性難聴、前庭神経炎など
  2. 脳の病気(約5%)…脳梗塞、くも膜下出血、一過性脳虚血症、脳幹・小脳出血など
  3. その他(約20%)…自律神経失調症、起立性低血圧症、更年期障害、不整脈や血圧の異常、心因性、ストレスなど

脳が原因で起こるめまいの中には、脳梗塞やくも膜下出血など危険な病気で起こるものもあります。
「ろれつが回らない」「手足が痺れる」などの症状が一緒に出た場合、すぐに専門医へ受診してください。

中医学によるめまい

中医学では、めまいは「眩暈」「目眩」「眩冒」とも書きます。
日本語では、全て「めまい」と読みますが、症状ごとに分けて考えられています。

「眩暈」「目眩」「眩冒」の違い

  眩暈:目がかすみ、物が揺れて見える状態。

  • 「眩」:目がかすんで目の前が暗くなる
  • 「暈」:周りが揺れて動いているように見える
目眩:目がかすみ、頭のふらつきや回転を伴うもの

  眩冒:頭が重くなり、ブラックアウトや激しいふらつきを伴うもの

めまいの原因が脳や耳の異常ではなく、検査をしても原因が分からない場合、中医学の考え方が参考になるかと思います。

ここでは、中医学の観点から診た、めまいのタイプをお伝えします。

 

めまいのタイプ

ストレス・イライラによるもの(肝陽上亢)

中医学には、「天人合一」という思想があります。
これは、「自然(天)と人は同じ=自然界で起きている事は、私たちの身体の中でも起きる」という考えです。

例えば、山火事などの大きな火災が起こると、その上空には必ず風が生まれます。
そして、その風は大きな木などを揺り動かします。

ストレスがめまいを引き起こすメカニズム

ストレスなどで気が滞る

気の滞りが熱化する

熱は上(頭部)へ向かう

頭部で風が生まれる

風により、頭部が揺れる

めまいが起きる

 

体内で起こった風は体や頭を揺らし、これがめまいを引き起こします。

今回は、ストレスなどが原因となり熱が生まれるメカニズムを説明しましたが、体内で熱が生まれる原因はいくつもあります。(風邪などの発熱や、陰の不足による発熱、もともと熱っぽい方)
症状や悪化因子などで、何が原因なのかを把握していきます。

 

肝陽上亢のめまいの特徴
  • ストレスにより悪化
  • 症状は急に出現
  • 立ってられないくらい強く出る時もある

 icon-chevron-circle-right 改善方法
体に溜まったストレスを流す事で改善します。
日常生活でも、運動や呼吸法などで、ストレスを溜めない生活習慣を試みてください。
柑橘系やラベンダーのアロマオイルなどはストレスを和らげる効果があります。

 

水分代謝異常によるもの(痰濁中阻)

「痰」とは、イメージ通りの「ドロドロした水分」の事を指します。

冷たいものやアルコールなどの水分を余計に摂り過ぎたり、運動不足などで水分代謝が滞り、身体の中(特に頭部)に「痰」が溜まってしまう事で、めまいが生じます。

本来は、余計な水分は身体の下へ落ちていき、尿や便となり身体から出ていきますが、痰のようなドロドロした水分になってしまうと、中々下へ落ちずに停滞してしまい、そこで悪さをしてしまいます。

 

痰濁のめまいの特徴
  • 頭の重だるさや吐き気、痰が絡むなどの症状を伴う
  • 飲酒や飲食で悪化
  • 雨や曇りの日に悪化

 icon-chevron-circle-right 改善方法
体に溜まった痰濁を流す事で改善します。
日常生活では、なるべく冷やさないようにし、運動などでなるべく汗をかき、代謝の促進と水分の排出を心掛けてください。

おすすめの食材:きゅうり、なす、とうがん、ねぎ、白菜、あずき、黒豆、あさり、しじみ、のり、わかめなど

 

疲労によるもの(気血両虚)

めまいで検査に異常がないと、「疲れによるものでしょう。」と言われます。
では、何故疲れるとめまいがするのでしょうか?
中医学では、身体のエネルギーの一つに「気・血」があります。気血は食べ物や睡眠などから補うもので、この気血が不足した状態が「疲れた」状態です。
この気血が全身を巡る事で私たちの身体は健康に過ごす事が出来るのですが、この気血が足りなくなると、全身を巡る事が出来なくなります。

特に頭部は身体の上にある為、他の部位よりも気血が不足しがちです。
その為、疲れてくると、頭部への気血も不足しがちになり、栄養されなくなる為、めまいが生じます。

 

気血両虚のめまいの特徴
  • 症状は比較的弱め
  • 疲労により悪化
  • 休むと楽になる
  • 顔や爪の色が悪い

icon-chevron-circle-right改善方法
気血を補う事で改善します。
日常生活ではなるべく無理な肉体労働などは避け、身体を冷やさないようにして、体力的・精神的にも疲労を溜めないように心掛けてみてください。

おすすめの食材:やまいも、とうもろこし、小麦、なつめ、かぼちゃ、きくらげ、サケ、ブリ、あさり、ホタテ、まぐろ、鶏肉、牛肉、卵、レバーなど

 

体力不足によるもの(腎精不足)

「腎精」とは、気血と同じように必要なエネルギーで、腎に蓄えられている「精」の事を指します。腎精とは、成長や生殖を司り、脳や骨を成長させる物質です。
老化や慢性疾患、過度の房事は腎精を損耗し、頭部を栄養できなくなり、めまいを引き起こします。

 

体力不足のめまいの特徴
  • 耳鳴りや難聴を伴う
  • 過度の房事や不眠、疲労で悪化
  • 夕方以降に症状が悪化する事がある

 icon-chevron-circle-right 改善方法
腎精を補う事で改善します。
日常生活ではなるべく無理な肉体労働などは避け、しっかりとした睡眠を取りましょう。過度の房事は控えるように心掛けてください。

おすすめの食材:黒豆、くるみ、くり、クコの実、豚肉など

 

中医学から診た各種疾患