薬膳からみた、不眠に効果的な食べ物

先日、患者さんから「不眠に効果のある食べ物って何かありますか?」という質問をいただいたので、こちらでもシェアしたいと思います。

睡眠と食べ物の関係で言うと、「これを食べたから眠れるようになる。」というものはあまりなくて、むしろ「これを食べたら睡眠の障害になる。」というものを出来るだけ排除する事が大切だったりします。(糖分だったりカフェインだったり。)

 

それでも、イライラを抑えたり、精神を落ち着かせる事で睡眠に効果のあると言われている食べ物や飲み物もいくつかあります。良く言われているのは

・トリプトファン(かぼちゃの種、ひよこ豆、海藻類、卵白等)

・マグネシウム(ナッツ、種子類、葉物野菜、バナナなど)

・ビタミンB6(魚、豆類、鶏肉など)

・カルシウム

などです。

特にトリプトファンやビタミンB6は精神を落ち着かせるセロトニンや、睡眠を促すメラトニンの原料となる栄養素なので、積極的に摂る事がおすすめされています。

これらは栄養素からみた不眠に効果のある食べ物ですが、薬膳の視点から見た「精神を安定させる食べ物」「不眠に効果のある食べ物」をお伝えしていきますね。

大きく分けて、

①イライラや精神的に落ち着かなくて眠れない

②疲れているのになぜか眠れない

③どちらにも有効

場合の3つに分けてご紹介します。

 

①イライラしたり落ち着かない時に摂ると良い食べ物

  • 金針菜…気の流れを改善して気持ちの落ち込みやゆうつ感を解消し、精神を安定させます。身体の熱を冷ましてむくみや火照りを取り除くとともに、血を補って巡りを改善させるので、生理不順の改善にも有効です。
    くわん草というお茶にもなっていて、当院でもお出ししております。

 

  • セロリ…ストレスによるイライラや情緒不安定を改善すると言われています。特にセロリの香り成分に安眠効果があると言われていて、めまいやのぼせ、高血圧、頭痛、目の充血の改善にも効果があると言われています。

 

  • ゆりね…神経を落ち着かせて、イライラや不安感、動悸を鎮める効果もあると言われています。また、身体を潤す効果もあるので、乾燥肌や喉の痛みなどにも効果があると言われています。身体を冷やす作用があるので、火照りの強い方にはおすすめですが、冷え性の方は控えめにしましょう。
  • 春菊…春菊の香り成分には気を巡らせる効果があると言われていて、イライラやのぼせ、頭痛や鬱々した気分などを緩和すると言われています。
  • バジル…不安感やイライラ、憂鬱感の鎮静やリラックス効果があると言われています。また、アンチエイジング効果が期待されている食材として注目されています。
  • みつば…気血の巡りを改善させて、イライラや喉の詰まり感、肩こりなどの改善にも役立ちます。※薬膳では、香りの強いもの(ハーブ系や柑橘類)は、気の巡りを促進させる効果があると言われていて、イライラを解消させると言われています。

 

②疲れているのに何故か眠れない時には…

 

    • マルベリー…眼精疲労やめまいなどにも効果があると言われています。身体の熱を取る効果もありますので、火照りなどでお悩みの方にはおすすめですが、冷え性の方は摂り過ぎに注意が必要です。マルベリージャムとして良く市販されています。

 

    • 蓮の実…不眠だけでなく、動悸や精神不安を解消させてリラックス効果の強い食材です。緊張感が強かったり、手足の火照りが強くてうまく寝付けない方にもおすすめです。

 

    • カツオ…気血を補い胃腸を温める働きがあるので、消化吸収力を高めて体力を回復させる働きがあるので、疲れて眠れない時などにおすすめです。

 

    • シジミ…血を補う効果がある為、精神を安定させて動悸や貧血の解消にも効果があります。また、むくんだり疲れが溜まって身体が重だるくなった時などにもおすすめです。

 

    • ナマコ…シジミと同様に、血を補い、精神を安定させて動悸や貧血の解消にも効果があります。また、乾物のナマコには身体を温める働きもあるので、冷え性の方にはおすすめです。

 

    • …同じく血を補う効果がある為、精神安定や動悸・貧血の解消にも効果があります。卵白には身体の熱を取る効果があると言われている為、寝汗やほてり感がある方にはおすすめです。

 

③どちらにも有効

 

    • アワビ…眼精疲労を回復させるとともに、イライラを解消させる効果もあると言われています。また、血を補う働きが強い為、生理不順でお悩みの方にもおすすめです。

 

      • 牡蠣…イライラや不安感、不眠症、動悸の改善に効果的です。また、過労による心身の疲労も回復させると言われています。

 

    • 牛乳…ストレスやイライラの解消だけでなく、疲労回復効果もあり、精神を安定させる効果があると言われています。ただし、身体に合わない事もある為、飲み過ぎには注意が必要です。

 

こんな感じのものがあります。

③の「どちらにも有効」と言うのは、東洋医学では疲れて血を消耗すると、気の巡りが滞ってイライラしやすくなるという考え方もあります。

疲れているとイライラしやすくなる事って、結構ありますよね。
そんな時に摂った方が良い食べものです

 

また、ハーブティなども不眠の改善に効果があると言われているものがあり、

 

  • カモミール
  • リンデン
  • バレリアン
  • ラベンダー
  • ホーリーバジル

 

などが代表的なものです。

これらのハーブティは当院でもお出ししているので、ご希望の方は仰ってください。

 

また、糖分やカフェインは身体を覚醒させる作用がある為、寝る前にはオススメ出来ません。また、添加物なども内臓疲労に繋がりますので、「寝ても疲れが取れない」というあなたは、少し控えてみた方が良いかも。

最近では、食べ物に関する本がたくさん出ていて、何が本当に良い食べ物なのか分からなくなってきますが、基本的には、植物中心の加工されていない食べ物を摂る事が身体には一番良いようです。加工されたジャンクフードなどは控えた方が良いようです。

今回もまた少し長くなってしまいましたが、如何だったでしょうか?

当院にいらっしゃる方には、鍼灸治療のみではなく、普段の食べ物や生活リズムなども少し意識して頂くようにお伝えしております。

普段僕たちが何気なく口にするものにも、成分だけでなくそれ自体が持つ様々な力があるんだって思うと、また食べると言う行為に対しても違った見方が出来そうですよね。^^

ただし、食べ物で体質を変えようとする場合、1つの食材を集中的に食べるよりも全体のバランスを考えて少しずつ摂っていき、焦らずに少しずつ症状を改善させようとする事が大切です。

漢方の考え方では、口に入れてすぐに効果の出るものよりも、すぐに効果の出ないものの方が良いものと言われています。それだけ副作用も少ないからですね。

繰り返しになってしまいますが、「これを食べたら絶対に眠れるようになる。」という食材は存在しませんし、人によって合う合わないがあります。今回載せた食材を参考程度に考えていただいて、最終的には自分自身で自分の身体に合う食べ物を探していくという姿勢が大切です。

あなたが普段口に入れるものを、少し意識して過ごしてみてください。

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